2012年12月13日木曜日

イギリスから日本を考える

ロンドンからハロゲイトに移って10日がたつ。
ここでの生活はロンドンと違いとても静かなものだ。
駅周辺にWagamamaという日本食まがいのチェーン店がある以外、日本人に会うこともない。

しかし、こんな一見日本とは全く関係を持つことがないようにおもえる生活の中で、今まで以上に日本のことについて考えるようになった。

こちらの人の日本の認識は、決まって「お金持ち」。しかし実際はかなりの確率で日本人と中国人を混合している。スイスの友達に会いにスイスへ行ったとき、友達が、「この町には日本人のツーリストがたーくさんいるんだ」って言ってたけど、実際行ってみたら90%以上が中国人。。。
多くの場所で同じような現象が起きていることは間違いない。
日本の経済が20年間不況であることなどほとんど知られていない。いまだに日本は好景気で世界のトップを走っていると考えられている。
それも無理はない。彼らの周りには日本があふれている。自動車、家電、テレビ、カメラ、日本食、アニメ、マンガ、カラオケなど例をあげればきりがない。

ただ日本にいる皆さんはほとんどが知っていると思う、もう日本の栄光は過去のものであると。
こちらでは今のところ日本人気は健在だ。
ただ、自分が、日本出身であることを誇りに感じることができる最後の代になるかもしれないという強い懸念を持っている。
日本にいるときは不況、不況と言われてもどこかに大丈夫だろうという気持ちを常に持っていた。
ムリもない。物心ついてからというもの、私は不況という言葉しか耳にしたことがない。しかしながら、決して豊かな家庭ではなく、それが故に留学もできなかったが、生活に不自由を感じたことはない。(もっとも親の努力もあるだろうが。)
仕事がない、仕事がないと言いながら最終的には、みな何らかの仕事についていく。
幾度もの大災害にあっても、またしばらくもすれば何もなかったかのように毎日が過ぎる。

無意識のうちに、「この国は何があっても大丈夫だ」という思いをもっていた。いくら少子化、人口減少、年金制度の崩壊などが叫ばれても、いくら中国や韓国に追い抜かれても、どこかで絶対大丈夫だという根拠のない自信を持っていた。

現在そういった気持ちを持ちながら日本で暮らしている人も少なくないのではないか。

ハロゲイトに来て、本当に自分の国で仕事が見つけることができず、藁にもすがる思いでイギリスに来ている人たちに出会った。
私は、自分の英語力の向上とイギリスの生活を感じることを主な目的として働いている。要するに毎日をやり過ごせてなおかつ英語を学べれば御の字だ。
帰国後は英語力を生かして、インターナショナルな舞台で活躍できる仕事に就きたいと考えている。

「なんで日本にたくさん仕事があるのにここで働いているの?」

タイ人の同僚が訪ねてきた。彼らは生きるか死ぬかという瀬戸際の状況で、命をかけてここで働いている。遠い祖国に家族を残し、彼らを養うために必死になって働いている。本当の意味で腹をくくってイギリスにいる。私は彼らの前で、その質問に答えられなかった。自分の考えがとても甘えた考えのように思えてしまったからだ。
彼らの瞳は本当に力強い。
私は学生時代に植林ボランティアで行ったマレーシアの人々の瞳を思い出した。そこには電気もガスも水道も風呂もない。しかし彼らの瞳は本当に力強かった。つねに何かを狙っているかのような、ハングリー精神に満ちた目。
帰国後、日本人の疲れきったような無気力な瞳を見て、なんとなく違和感を覚えたのを今でも鮮明に覚えている。

日本が戦後、高度経済成長を経て、世界でもトップの経済規模を持つまでに成長できたのは紛れもなく偉大な先人たちのおかげだ。そして彼らもまた、敗戦を糧にハングリー精神を持ち、強い意志と瞳を持って日本をここまで押し上げてこられたことと私は確信している。現在の私たちにその心があるだろうか。ロンドンにいた時、日本人であることを過剰に誇りに思い、あぐらをかき、他国を見下す人たちを見かけた。
実際私たちの世代は現在の日本の国際的地位に何も貢献していない。それなのになぜそんなに偉そうな顔ができるのだろうか。私はとても大きな疑問と不快感を抱いた。
私たちの世代のうちどれだけの人が日本の歴史を知り、日本の心を知り、なぜ日本が現在の位置にいることができているのかを知ろうとしているだろうか。
最初にハロゲイトに来たとき、ネット以外では日本と全く接触しない生活を送ることになるだろうと思っていた。街で日本人どころか白人以外を見ることはほとんどない、職場のホテルでも日本人は私一人である。

職場で、モンゴル人の見習いシェフが、相撲について話してきた。
「魁皇と千代大海の相撲が好きだった。本当に日本の相撲は素晴らしいよ、君も相撲好きだろ?色々話そう!」

中国人のチーフシェフが日本語で自己紹介してきた。
「昔は日本語少し話せたんだけど忘れちゃってさ。おれに日本語教えてくれ!」彼は満面の笑顔で私の肩を叩きながらそう言った。
「前はシンガポールの日本食レストランで、アライさんというボスのもとで働いてた!俺日本人大好きよ!!」
マレーシア人の同僚が言った。

イギリス人の同僚が尋ねてきた。
「俺の一番好きなテレビゲームは全部日本のなんだ!君はどのゲームが一番好きなの?」

「僕は本当に日本の文化に尊敬の念を持っている。神道・武士道の精神、日本人の文化・歴史は世界で一番洗練されていて優れていると僕は信じている。日本の天皇制の歴史は敬服するのみだ。」
ハンガリー人のマネージャーが熱く語りかけてきた。
日本にいるときにはほとんど実感することがなかったが、日本という国は本当に世界中の人から
愛されているんだということをここにきて実感している。また同時に日本人であることに強い誇りと、日本についてまだ知識不足な自分に対して恥ずかしさを持つようになった。

日本という国は素晴らしい。それはこっちに来て確かに確信できた。でもその素晴らしい国を作り上げてきたのは偉大な先人方であり、僕ら現代を担う世代は、それを受け継ぎ継承していかなければならない。
日本には日本にしかないユニークな文化や慣習が多数存在している。
そして、それらが日本を現在のポジションへと押し上げたと私は信じている。

そういった観点から私は現在の日本の状況について、大きな危機感を持っている。
どこか私たち現代の若者は本来しかるべき方向とは違う方向に向かっているのではないか、もしくはただ我関せずという逃げの態度をとっているのではないか。


もう一度日本人皆が原点に立ち返り、日本人であることに誇りを持ち、この国を何とかしようと立ち上がらなければ本当にこの国は手遅れになる。
日本では仕事に就けないという時代が確実にやってきている。

まずは私たちの意識の根底にある、何とかなるだろう、誰かがやってくれるだろうという気持ちから変えていかなければならない。

そのためのヒントをイギリスにいるうちにできるだけかき集めて日本に持って帰りたい。

0 件のコメント:

コメントを投稿